アフリカの魅力を若い世代へ 国際協力にとらわれるな〜ALL ABOUT AFRICA 稲川雅也さん〜
本日は、大学生時代に「ASANTE PROJECT」や「ALL ABOUT AFRICA」などのアフリカに関する団体を創設し、現在は「Tokyo Africa Collection」 の副社長として、アフリカの魅力をたくさんの人に届けるべく活動されている稲川雅也さんにインタビューしてみました。
社会貢献を仕事にする彼の想いや活動について聞いていきます!
1995年 神奈川県出身
Tokyo Africa Collection 副代表(株式会社東京アフリカコレクション取締役副社長)
アフリカウェブメディアALL ABOUT AFRICA代表
フリーとしてアフリカ旅発信やイベント登壇も精力的に取り組む
学生時代にタンザニア教育支援の学生団体ASANTE PROJECTを創設、代表を務める
2019年アフリカ10ヵ国縦断達成
*本インタビューは2019年6月時点での取材内容となります
目次
パワフルで希望に溢れるアフリカ
国際協力を始めたきっかけ
国際協力を始めたきっかけを教えてください。
20歳の時に独りでタンザニアに行ったことがきっかけです。
幼いころから海外には関心があったが、海外旅行に行ったことがありませんでした。
大学生になったら行こうと決めており、人生初海外は東南アジアでのバックパック。
その後「アフリカへ行きたい」と思い、初アフリカとして訪れたタンザニアで人の暖かさに触れその国を大好きになりました。
しかし、それと同時に教育制度やインフラなどが整っていないことにも気づき、大好きな国のために何かしたいと思い、始めたのが「ASANTE PROJECT」という教育支援ボランティア団体です。
どのような経緯で現在の活動を行うことになりましたか?
大好きな国のために何か貢献したいと思って始めた「ASANTE PROJECT」でしたが、資金調達のためにアフリカのかわいそうな部分ばかりを伝え、関心を集めている自分自身に気付きました。
そのことが私のアプローチを変える大きなきっかけとなりました。
支援のためのファンディングでは、ネガティブなアフリカを前面に出すことによって関心とお金を集めていたのですが、私が実際に見たアフリカの姿はパワフルで希望に溢れる力強い姿だったのです。
そこで「魅力的なアフリカ」を伝えることで関心とお金を集めたいと思ったことが現在の活動の始まりで、いかにそれをアフリカに関心のない層まで広げられるかが私のテーマとなりました。
その中で重要だと思うアプローチが「大衆的なモノとの掛け算」だと思い、ファッションでアフリカ観を変える「Tokyo Africa Collection」や誰もが気軽に発信できるプラットフォーム「ALL ABOUT AFRICA」を設立しました。
起業家になった理由
なぜ起業家になることを選んだのか、意思決定の判断基準を教えてください。
海外に行ったことが大きなきっかけとなりました。
例えば、アフリカでは明日のために生きている人が多くいます。
私よりも若い人が自分で作ったアクセサリーを売り生計を立ててたりする。
生活は豊かではないかもしれないけれど”生きる”ということにおいて精神的自由度が高いと感じました。
それに比べて日本は、とても少ない選択肢の中で生きていると思います。
小中高を経て大学へ進学し就職する。
知らないうちになんとなく「これが普通なんだ」と思い込んでいました。
しかし、実際のところ大学はもちろん行くもいかないも自分次第であります。
私の通った私立大学の学費は一年間で100万円以上、一つの授業だけで約5000円以上費やされているわけですが、大半の学生が寝ている授業もあります。
その割にお金のない私たちはランチの50円の差に悩むわけです。
もし一年間でその100万円を自由に使えたら。
今寝ている時間もその5000円を有効に使えたら。
そんなことを考え始めたらいてもたってもいられなくなり、コスパの悪い(自分の場合)大学にいくことをやめ、好きなことに熱中することにしました。
国際協力に縛られるな
大切にしているマインド
今の活動をする上で大切にしている考えや、その考えをもった原体験があれば教えてください。
大切にしていることは「国際協力という言葉にとらわれないこと」です。
「Tokyo Africa Collection」を始めたときに、「それは国際協力ではない」と言われました。
私たちはアフリカをいかにポップに伝えるかということに注力しており、アフリカに関心のない人にまで届けることが目的です。
しかし、立ち上げ当時はそれが「国際協力として軽い」などと批判されたりもしました。
そもそも国際協力とは何でしょうか?
現地に根付いてこそ国際協力だという考え方、日本での周知活動も国際協力の一環だという考え方もあります。
「Tokyo Africa Collection」は国際協力活動ではなくエンタメだと思っています。
ただ私の考えでは、国際協力なんて隣の人を思い合えるかの問題であり、貴方の活動が国際協力か否かは問題ではありません。
国際協力という言葉がその可能性を狭めていると思います。
よく学生からこのようにDMが来ます。
「アフリカに行くのですが現地の人たちのために何ができますか?」
奥地に行けば困っている人はいるかも知れませんが、ポンと無計画に現地に行って助けられる人なんてそんなにいません。
そんなことよりアフリカはとても魅力的な大陸なので、ただ行けばいい。
そこで何を感じるかは貴方次第で、それが国際協力かもしれないし、まったく別のことかもしれない。
アフリカや国際協力に関わる学生は自己犠牲意欲の高い人がすごく多い印象なのですが、現地の人はそんな関わり方を望んでいないのではないでしょうか。
国際協力に縛られずに、まずは自分のため、次に隣の人のため、最後に世界のために貴方の人生を謳歌していただきたいです。
神秘的な色合いのエチオピアのダロール火山にて
必要なスキル
今の活動の中で過去に身に着けておいてよかった経験やスキルはありますか?
ひとつは英語。
それと旅に対するマインドの2つです。
アフリカ縦断中は特に実感しました。
共通言語を持たなくともコミュニケーションは取れますが、やはり英語のような共通言語を話せることで現地の方との会話の質が大きく変わります。
また、アフリカ縦断中に世界各国の旅人を多く見てきましたが、日本の旅人は海外の人とあまり交流せずに日本人同士で固まっているのが目につきました。
少しでも現地の言葉や共通言語が話せればすぐに距離も縮まりますし、込み入った話もできます。
是非オープンに外国の方とも打ち解けるマインドを持ち合わせておくのはとても重要なことだと思います。
ですので、英語力と旅に対するマインドは身に着けておいて良かったと思っています。
かっこいいアフリカを伝える
これまでの失敗や困難
国際協力において、過去最大の失敗や困難、それをどう乗り越えたのか(行動や習慣、ステップ)、具体的に教えてください。
「アフリカに関心のない人へアフリカの魅力をどのように届けるか。」
それこそが最大の困難です。
日本の若者のマス層にリーチさせるためTokyo Africa Collectionでファッションなどの大衆的なモノとかけ合わせることや、アフリカ旅中には絶景動画をSNSで発信するなどしています。
「アフリカ」という言葉を見た瞬間にチャリティー感を感じる人が少なからずいるのが事実です。
20年前から続くアフリカ支援キャンペーンの印象は未だ色濃く、
「アフリカには食べれない子供がいるから残さず食べなさい」
といった勝手なイメージが根強く残ってます。
確かにそれも間違ってはいません。
しかし私はアフリカの伝わってない魅力的な面も知ってもらいたい。
アフリカという4文字を見たときにかっこいい、カワイイというイメージを持ってもらうことが私のやりたいことです。
アフリカのイメージを払拭するために一番効果的だったものはものは何ですか?
絶景動画ですね。
ツイッターでは結構バズリました。
やはり、サファリやビクトリアフォールズは誰が見ても絶景です。
アフリカの絶景観光地はまだあまり知られていないため、世界の観光地と比べて人が少なく貸し切りのような気分も味わえます。
このような発信を通して、アフリカってこんなにすごいところなのか、観光でも行ってみたい、そう思っていただきたいです。
今後のキャリアと国際協力のこれから
国際協力における今後のキャリアと国際協力のトレンドを教えてください。
今後の目標で言うと、9/1開催のTokyo Africa Collection2019では600人程の来場者を予想しているのですが、次回は1000人規模のショーをやりたいですね。
「ALL ABOUT AFRICA」に関してはアフリカのことはここに来れば何でもわかる、そんなサイトにします。
また、個人ではアフリカ旅を続け、YouTubeやSNS発信を通してアフリカに関心のない層により面白く届けていきます。
国際協力のトレンドとしては、アフリカは一つ一つの国で語られるようになってくると思います。というよりそうなることを望みます。
例えば、ルワンダのように効果的にブランディングすることで魅力が伝わり一つの国として認識されると感じました。
やはりどの国にも特徴や魅力があり、世界に知られるべきポテンシャルを秘めています。
読者へメッセージ
最後に国際協力の道を志す人たちに応援メッセージをお願いします。
国際協力という言葉に縛られる必要はありません。
チャリティーでボトムを支える方法やビジネスやエンタメの力でアフリカにお金を還元する方法など、取り組み方は無限大です。
国際協力は誰がどう解釈するかによって変わってしまいます。
ですので、まずは貴方のため、次に隣のため、最後に世界のために、思いっきり突き進んでください。