アジアの高齢化問題に介護で向き合う#1~Rehab-Care for ASIA國谷昇平さん~
今回は、高齢化が進むアジア諸国で、適切なリハビリテーションや介護を普及する活動を行うNPO法人Rehab-Care for ASIA代表の國谷昇平さんにインタビューをしました。
第1弾では、國谷さんの活動と、そこに至るまでの経緯をお伝えします。
國谷昇平
都内の病院にて6年間勤務後、2015年から2年間、青年海外協力隊員としてタイのラーチャブリー県にあるポータラーム病院に派遣。
タイでは地域高齢者へのリハビリ指導をし、デイケアセンターを設立した。
帰国後も引き続き国際協力の道で活動するためNPO法人「Rehab-Care for ASIA」を設立。
現在は、NPO代表を務めながら、いくつかの仕事を並行して行っている。
*本インタビューは2020年6月時点での取材内容となります
現在の活動
現在の活動を教えてください。
現在は、作業療法士というリハビリの職種を基盤に、個人事業主としていくつかの仕事を並行しています。
その中の一つとしてNPO法人Rehab-Care for ASIA(以下、ReCA)を立ち上げて、アジアの高齢者に対する支援活動を行っています。
具体的な活動は、以下の通りです。
・タイ ラーチャブリー県ポータラーム郡での寝たきりゼロ事業
・研究事業
・ミャンマー、マレーシア、インドネシアにて活動状況の聞き取り、アドバイス
ラーチャブリー県ポータラーム郡での寝たきりゼロ事業では、毎月現地に出向き(現在休止中)、デイサービスの内容の指導や、高齢者宅の訪問等、地域の中での寝たきりを減らす活動を行っています。
また、ラーチャブリー県の中で新たな高齢者向けのデイサービスの立ち上げも行っています。
NPO設立の経緯
NPOを立ち上げる前は何をされていましたか?
大学と夜間の専門学校に通いながら、リハビリテーションの資格を取りました。
卒業後、東京の病院で6年ほど働き、青年海外協力隊に参加しています。
協力隊では、タイの病院で活動していました。
協力隊に参加されたきっかけは何ですか?
きっかけは、高校生のときに読んだ「作業療法士になるには」という本です。
その本では、作業療法士の青年海外協力隊の体験記が書いてありました。
それを読んで、直感的に自分もいつか作業療法士になり、海外で活動したいと思いました。
海外に行く方法は留学や旅行などいろいろあるので、違う方法でも行ける人は行ったほうがよいと思います。
協力隊に参加後、NPOを立ち上げた理由を教えてください。
ReCAの副代表に誘われたのがきっかけです。
協力隊で活動中、副代表が活動を見学に来ました。
そして協力隊から帰国後、副代表からすぐ「國谷さんNPO立ち上げません?」と連絡が来たのです。
私はそのとき、タイのデイサービスの事業の立ち上げができないかと考えていたので、なぜ非営利でやるのかと思いました。
ただ、NPO法人について調べていくうちに、会社の形態でやるよりもNPOという形でやる方が想いが相手側に伝わりやすいと考えました。
タイではボランティアに対するイメージが良く、非営利活動であることを伝えると、タイ人側も安心して私たちと接してくれます。
そのため、自分自身の活動をやりやすくするために、NPOとして立ち上げました。
フリーランスとしての働き方
NPOの活動だけでなく、個人事業主という形で仕事を掛け持ちしようと考えたきっかけはなんですか?
協力隊を通して、自分で仕事を見つけていく楽しさを知ったことです。
それまで、自分で課題を見つけて行動することはありませんでした。
そのため、協力隊として現地の課題を見つけて、自分で自由に動くってこんなに楽しいんだと思いました。
また、ちょうど私がタイに行く前から、同時にいろんな仕事をしていくパラレルキャリアという考え方があると聞き、関心をもっていました。
そこで、非常勤の仕事をやっていくうちに、企業から仕事の依頼をもらうようになり、今に至ります。
特定の資格を得ないと、いろいろなところから仕事を得るのは難しいでしょうか。
資格は必要ないですが、自分の専門性を何個か極めることは大事です。
そうした専門性は、持っている人が少ないほど良いです。
私の場合は、「タイ語・高齢者・リハビリ・NPO」です。
タイ語をできる人や、タイ人とすぐつなげられる人は普通いません。
その時に、ぱっと自分の顔がでてきてもらえると、仕事の依頼をいただいたりします。
第2弾では、國谷さんが活動するにあたり大切にしている考えをお伝えします。