10年間ベビーカーをおろし続ける方南町のヒーロー#1~ベビーカーおろすんジャーさん~
今回インタビューしたのは、方南町駅でベビーカーを10年間おろし続けるベビーカーおろすんジャーさん。
「楽しむ」をモットーに地域の方と助け合い続けるベビーカーおろすんジャーさんが、活動を始められたきっかけや10年にもわたる長い間続けられた秘策などを伺ってきました。
この記事を読めばきっとあなたも明日から街のヒーローに。
*本インタビューは2020年2月時点での取材内容となります
1.1人で下向いて掃除をしていた日々
ベビーカーおろすんジャーさんは、緑の戦隊服を身にまとい普段、方南町駅でベビーカーや荷物をおろすことや掃除をする他、月に一回イベントの開催をするなど、方南町を良い街にするために日々活動を行っている。
10年近く方南町で活動する、おろすんジャーさんが最初に始めた活動は「掃除」だった。
「大学生の頃、住んでいる街に恩返しをしたい・町の人と仲良くなりたいという気持ちから掃除を始めました。」(おろすんジャー・以下同)
街の人と触れ合おうと掃除を始めた彼は最初から壁に当たった。
「最初は普通の格好で掃除をしていました。でも僕、シャイなので誰とも目が合わせられずに下向いて掃除していたんです。」
それを解決する手段が緑のヒーロースーツ。
「だから、自分の家にあったヒーロースーツから緑を選択して掃除にでかけたんです。そしたら、子どもやノリのいい人が絡んでくれるようになって、話せるようになりました。」
掃除をするようになったおろすんジャーさんは、ある日気づいていなかった街の問題に気づかされた。
「ある日、八百屋さんで働いていたところにベビーカーを押した常連さんが来たんです。
彼女は『これから新宿まで出かけるために隣の駅までベビーカーを押して歩く。』とおっしゃっていたので理由を尋ねました。
『方南町にはエレベーターもエスカレーターもないから。』と答えました。それなら自分が駅に立って手伝おうと思ったのがきっかけです。」
翌日から看板をもって駅に立つようになったおろすんジャーさん。しかし、最初は苦労をしたという。
「(立ち始めて)1日目も2日目もずっと断られたんですよ。みんな僕のことを知らないし、格好も怪しいので、、、『自分で持ちます。』とか『駅員さんを呼ぶので大丈夫です。』という風に。やっと持たせてもらえたのが3日目でした。」
3日目にあるお母さんが持たせてくれたベビーカー。最初の大仕事にも苦労はあった。
「僕は子どももいないし、ベビーカーも運んだことがなかったんです。
だからその時、子どもを乗せたまま運んでしまって…。
それが悪いことという意識は全くなく。
それを見ていた方から『駄目だよ。人の命預かっているのだから、お子さんはちゃんとお母さんに預けて。』とご指摘をいただきました。」
苦労が重なるおろすんジャーさんを支えてくれたのは、町のお母さんたちの声だという。
「最初にベビーカーを持たせてくれた方がすごく喜んでくれて、そういうのが積み重なっていったんです。
行ったら喜んでくれる人がいて、自分にはいる意味があるのだと感じました。」
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