【デザイン×社会貢献】得意を生かした一石二鳥の関わり方#1~Social Compass 中村英誉さん~
カンボジアのおばちゃんとの出会いからアニメーションの可能性を見出した中村さん.
TwitterやInstagram、YouTubeでは“ひでほま”さんとしてご活動されています。
デザインやアニメーションで様々な社会問題にアプローチされており、自分らしい方法で社会貢献をしたいと考えている方は必見です!
中村英誉(なかむらひでたか)
2004年京都造形芸術大学卒業後に単身渡英。ロンドンC.H.A.S.Eアニメーションスタジオにてディレクター、キャラクターデザイナーとして勤務。
2007年株式会社HIDEHOMARE(現・コンパスアカデミア株式会社)。
2010年3月、東京大学内ベンチャー企業の「株式会社フィジオス」のアート・ディレクターとして、米国シリコンバレーのビジネスコンテストiEXPOにて最優秀賞を取得。
2012年、カンボジア移住。
2014年、一般社団法人Social Compassを設立。
*本インタビューは2020年6月時点での取材内容となります
現在の活動
現在はどのような活動をされていますか?
現在は、カンボジアで立ち上げた一般社団法人Social Compassで、「社会問題を解決する」をコンセプトに活動しています。
一般社団法人Social Compassは、デザインやアートを中心に、様々な社会問題解決に取り組む、クリエイターの集団です。
また、コンパスアカデミア株式会社(旧HIDEHOMARE)の代表も務めており、「社会貢献×アニメーション」をコンセプトに、ソーシャルビジネスを展開しています。
社会問題は言葉や文字だけで伝わらないことが多いのが現状です。
だから、動画を作成しての啓発によって、現地の人々に社会問題を知ってもらう可能性を高めています。
個人ではYouTubeやInstagramでも“ひでほま”という名前で活動中です。
実現したい世界
中村さんは様々な活動をされていますが、活動を通して、どのような社会や世界を実現したいとお考えですか?
作りたい社会や世界は、みんなが思いを伝えられる手段が多様に存在し、そのことによってみんなが思いを分かり合える社会や世界です。
私たちはなんでも「ことばで伝えたらいいじゃん」と思いがちです。
しかし、もっと音楽やデザイン、ビジュアルなどの伝える手段を考えなければ、意思疎通は図れません。意思疎通ができないことによって、戦争とか争いが起きるのではないでしょうか。
具体的な活動
実際にどのようなことをされているのでしょうか?
様々なことをしていますが、ここでは2つ紹介します。
1つ目は、カンボジアを中心としたアジアでの教育活動です。
特に、水教育・理科教育・体育教育を、アニメーションを駆使して行っています。
水教育は、プロジェクションマッピングなどの技術を使って行いました。
JICAが作った洪水対策用の地下施設に、子どもたちの描いたとても綺麗な街並みを放射するのですが、足元にはゴミが落ちているんですね。
アニメーションで実際に地下施設が水で溢れて、自分たちの描いた魚が死んじゃうという体験をしてもらいます。
「動物や植物と、人間が共存する世界を作ろう!ゴミを道に捨てたらだめだよ」という話をして、地上に出たら子どもたちが主体的にゴミを拾う。
そんなイベントを開催しています。
また、カンボジアには伝統的なクメール体操があるのですが、みんな少ししか覚えていないんですね。
ポル・ポト政権下で先生がみんな殺されてしまったため、教えられる人がいないからです。
だから、カンボジアは筑波大学と連携して再編集したクメール体操を、先生用の教科書に載せたんですね。
しかし、体操を静止画で理解することは難しいので、アニメーションにしました。
最終的には、正式に予算をもらって3分くらいの映像にさせてもらいました。
このような体育教育も行っています。
2つ目はデザイナー育成です。
アンコールクッキーをご存知でしょうか。
カンボジアの女性を支援する、ソーシャルビジネスで有名なお土産なのですが、この女性支援はカンボジアの若手デザイナーが行っています。
僕はアートディレクターとして総合的にプロデュースしました。
この時プロデュースした若手デザイナーは、今だに僕の右腕と言っても過言では無いほど頑張ってくれていています。
他には、油絵や彫刻しか教えていない現地の美術大学でアニメーションを教えたり、テレビ局と開催しているアニメのコンテストに参加してもらうために、カンボジア・ミャンマー・ラオス・スリランカでアニメーションを教えたりしています。
社会貢献を続けられる理由
社会貢献を続けられる理由はなんですか?
自分が楽しいと思うことをやっているからです。
僕はSocial Compassにおいて「一石二鳥」をコンセプトにしています。
つまり、自分がやりたいことをして、それが誰かを喜ばせられたらいいなと考えています。
全く自己犠牲ではありません。
例えば、僕自身が“プラネタリウムをつくりたい”と思ったときに、子どもたちが喜んでくれるかなと考えます。
僕自身が作りたいデザインをした上で、子どもたちを喜ばせる、いわばパズルのような感覚です。
自分自身が楽しいと思ったことだけをやると、それはそれでつまらないです。
だから、自分たちのやりたいことの先に、誰かが少しでも喜んでくれる仕組みを作ります。
そういったことが出来たら、社会貢献として無理なく続けていけるのではないでしょうか。
次回予告
デザインという武器を持ち、カンボジアで社会貢献をしてきたひでほまさん。彼はなぜ、カンボジアで、しかもデザインで社会貢献をされているのでしょうか?その経緯に迫ります!進路選択に迷っている高校生の方、デザインに興味を持った大学生の方、そして自分の強みを活かしたい社会人の方、必見です!