【デザイン×社会貢献】社会貢献×デザインをカンボジアでする理由とは?#2~Social Compass 中村英誉さん~
デザインという武器を持ち、カンボジアで社会貢献をしてきたひでほまさん。彼はなぜ、カンボジアで、しかもデザインで社会貢献をされているのでしょうか?その経緯に迫ります!
進路選択に迷っている高校生の方、デザインに興味を持った大学生の方、そして自分の強みを活かしたい社会人の方、必見です!
中村英誉(なかむらひでたか)
2004年京都造形芸術大学卒業後に単身渡英。ロンドンC.H.A.S.Eアニメーションスタジオにてディレクター、キャラクターデザイナーとして勤務。
2007年株式会社HIDEHOMARE(現・コンパスアカデミア株式会社)。
2010年3月、東京大学内ベンチャー企業の「株式会社フィジオス」のアート・ディレクターとして、米国シリコンバレーのビジネスコンテストiEXPOにて最優秀賞を取得。
2012年、カンボジア移住。
2014年、一般社団法人Social Compassを設立。
*本インタビューは2020年6月時点での取材内容となります
デザイン・アニメーションに興味を持った原体験
はじめにデザインに興味を持ったのはいつ頃でしょうか?
高校3年生になる頃です。
勉強が苦手だったので、このままだと親に高い学費を払わせて、私立大学に4年間通うことになると思いました。
何か手はないかと考えたとき、美術大学もひとつの選択肢だと気づいたんです。
また、美術大学を選んだのにはもうひとつ理由があります。
高校2年生ではじめて訪れた、写真の展覧会です。
「とても美しいな」と思った感情が心に残っていて、美術大学の映像学科を選びました。
当時は美術に詳しくなかったので、一浪して美術大学に入りました。
アニメーションをやろうと思ったきっかけを教えて下さい。
大学2年生のときに、ひとりでカンボジアに行ったことです。
クイティウというカンボジアで有名なヌードルを屋台で食べていた時、おばちゃんが話しかけてくれました。
おばちゃんは「みさえ、みさえ!」と言ってくれたのですが、正直何を言っているのかわからなかったんですね。
そうしたら走り回っている子どもを指差して「しんちゃん、しんちゃん」と言っていて、やっとおばちゃんが言おうとしていることが理解できました。
日本人の僕を見て、「うちの息子はいたずらっ子で、私はいつも怒っているのよ」という内容を、クレヨンしんちゃんのみさえ・しんちゃんを通じて伝えようとしてくれたんです。
それまで怖いと思っていた、ローカルな国のおばちゃんと、クレヨンしんちゃんというコンテンツを通じて意思疎通できました。
アニメーションってすごい、と感じたんです。
これが僕の原体験ですね。
新卒でイギリスの会社に就職した理由
なぜ新卒で日本やカンボジアではなく、イギリスのアニメーションスタジオに就職されたのですか?
もともとヨーロッパに留学したいと思っていたからです。
「ヨーロッパに行きたい」と周りの人に言いまくるほど、その憧れは強かったです。
卒業後はチェコに留学することを考えていました。
ちなみにチェコを選んだ一番の理由は、物価が安いからです。
正直ヨーロッパであればどこでも行きたかったんです。
でも留学の準備をしていた時、急に大学の先生から電話がかかってきました。
そこで「イギリスのアニメーション会社から話が来ているから、受けるだけ受けてみないか」と言っていただいたのです。
そうしてロンドンにあるアニメーションスタジオに就職しました。こう考えると、運が良かったのも理由のひとつですね。
カンボジアで社会貢献をするようになった経緯
社会貢献に興味を持ったり、カンボジアで活動したりすることになった経緯を教えて下さい。
カンボジアに行くきっかけになったのは、東日本大震災でした。
無理して東京にいる必要が無いと気づかされたんです。
僕は東京で仕事をしていたときから、今で言うノマドワーカーになっていたので、Wifiがつながる場所であればどこでも仕事ができたんですね。
プノンペンに着くと、想像以上にネット環境が整っていて、仕事ができると確信しました。
ネット環境を駆使して仕事していたら、意外にカンボジアでの仕事が成立したんですね。
本当は1,2年でカンボジアから日本へ帰るつもりでしたが、想像以上に仕事ができたので気づけば8年くらいカンボジアで仕事をしていました。
しかし、3年ほど経ったときに「飽きた」と感じるタイミングがあったのです。
他の国に行くことも考えたのですが、どこに行っても仕事内容は変わりません。
それなら、今いるカンボジアでしか出来ないことをしようと思ったんです。
実際にカンボジアでしか出来ないことって何だと思いますか?
僕は、社会貢献だと考えたんですね。
これが社会貢献に興味を持ったきっかけです。
みなさんはボーダレス・ジャパンの田口社長をご存知でしょうか。
どんな想いでソーシャルビジネスをやっているのか、直接話を聞きに行ったことがあるのですが、メンタリティが本当にソーシャルな方でした。
田口社長のような方々に様々なことを学ばせてもらい、自分にできるデザインを通して、社会問題やSDGsに向き合いたいと考えました。
こうして誕生したのが一般社団法人Social Compassです。
次回予告
趣味の旅行で訪れたカンボジアで「アニメの可能性」を感じ、謙虚な姿勢で前進し続けるひでほまさん。次回はそんなひでほまさんの将来像や読者へのメッセージをお届けします!