これからの社会は若者が担う#3~NO YOUTH NO JAPAN代表 能條桃子さん
今回お話を伺ったのは、政治と社会の教科書メディアNO YOUTH NO JAPANの代表を務める能條桃子さん。
第3弾では政治という難しいテーマをを若い世代に伝える時の意識や団体のこれから、社会課題解決に取り組む学生へのメッセージをお届けします。
能條 桃子
1998年生まれ 神奈川県平塚市出身
慶応大学経済学部4年
2019年にデンマーク留学を経験し、民主主義や政治参加などについて学ぶ。
留学中に日本であった参議院選挙をきっかけに、政治と社会の教科書メディア“NO YOUTH NO JAPAN”を立ち上げる。
*本インタビューは2020年7月時点での取材内容となります
伝える時の意識
政治という難しいテーマを若い世代に伝えるとき、意識していることはありますか?
まずは、難しいことを分からない言葉で説明しないことです。
NO YOUTH NO JAPANがやっていることは、あらすじ紹介です。
漫画『ワンピース』の70巻目を渡されて面白いから読んで!と言われても面白いとは思えません。
そのことが今の政治ニュースと同じだと思っています。
ニュースを面白いと思えるのは、事前に知識があり登場人物を知っていて、面白いポイントが分かっているからです。
だから、わかりやすい言葉を使って、ニュースを面白いと思える「入り口」の内容を発信するようにしています。
2つ目は、若い世代と政治の接点を様々な角度で提示することです。
政治には、「政局」と「政策」の2つがあると思っています。
「政局」は、誰が首相をやるかや、どの会派が強いかという話です。
「政策」は、政治の場で話されている中身のことで、予算の使い方や法律や制度に関することです。
政局は私たちの生活に影響はありますが、どちらの会派が勝とうが良い政策をしてくれれば構わないので、興味を持ちにくいと思います。
しかし、政策は私たちの生活と接点がものすごくたくさんあります。
自分の思っているモヤモヤやこういう社会で生きたいという想いが、政治と繋がっていることを様々な見方で提示していきたいです。
若者の投票率の向上
若者の投票率をどう上げるかについて能條さんご自身のお考えをお伺いしたいです。
正直、分からないというのが的確な答えだと思っています。
投票率を上げる方法が分かっていたら、もうすでに誰かがやっているんですよね。
それでも必要なことは変化です。
政治体制やメディア、教育に関する変化はもちろん必要ですが、最も重要なことは若者の意識の変化です。
私たち若い世代が今の社会をどうにかしなければいけません。
若者たちの中で新しい選択肢を提示し、自分たちの世代から応援できる候補者を出して、その人にみんなで投票する、そうすることで政治や社会を変えていく。
そんなストーリーが最善だと思います。
団体のこれから
これから団体や活動をどのように広げていきたいですか?また今後の能條さんご自身のキャリアについても教えてください
団体の活動を持続的なものにしなければならないと思っています。
いくら短期的に社会に良いことを行っていても、続けていかないとインパクトはありません。
私自身のキャリアに関しては、まだ全然決まってません。
でも、自分が持っている問題意識を解決することに貢献できればいいなと思っています。
メッセージ
最後に社会課題解決に取り組んでいる学生に向けてメッセージをお願いします。
3つあります。
まず、ひとつ取り組むことを決めて、打席に立つこと、そしてその中でたくさん失敗したり、たくさんのトライをすることはとても大事だと思っています。
私も、大学生活の前半では、問題意識が広すぎて手を付けられない、深く入っていけないとずっと思っていました。
でも、いくら口で「あれが大事、これが大事」と言っても仕方ない。「私には、政治だ」と決めて取り組んでみることで変わりました。
2つ目は、全員がリーダーである必要はないということです。
NO YOUTH NO JAPANは私が代表であり、広報で話すことも多いので私がやっている団体のように見えるかもしれません。
でも、実際に団体の内部を見ると、私以外のメンバーが自分の団体として責任と愛着をもって動いています。
もちろん課題を解決していくには、リーダーとしてビジョナリーである人がいることは大事です。
でも、それと同じくらい一人ひとりが自分の得意や好きを活かして力を発揮していることが大事だと考えます。
私は2年間のベンチャー企業でのインターンシップでがむしゃらに働きました。
その経験を通して、色々なスキルを身に付け、今に活かされています。
でも、NO YOUTH NO JAPANには私よりも高いスキルを持っている人がいて、そのおかげで活動が成り立っています。
皆さんの中にもインターンや何かの活動で「これは自分の名前でやっていることじゃないし…」と思っている人もいるかもしれません。
そんな人には、「リーダーでなくてもいい、得意や好きを活かせる実務者も活動に欠かせないんだよ」と伝えたいです。
3つ目は自分たちが楽しむことです。
私がNO YOUTH NO JAPANをやっている理由は、楽しくて仕方がないからです。
他のメンバーも楽しいからやっているというのが理想的だと思っています。
自分の解決したい課題と楽しいことが重なっている面積が大きければ大きいほど、取り組みは加速すると考えています。