NGOと民間企業の両方で活躍#1〜株式会社AAIC Holdings一宮暢彦さん〜
今回は株式会社AAIC Holdingsでヘルスケア分野の投資ファンドを担当されている一宮暢彦(いちみや のぶひこ)さんにお話を伺いました。
第一弾では、民間企業とNGOの両立についてお伝えします!
一宮暢彦
大学時代にエイズ孤児NGO・PLASにて立ち上げメンバーとして関わる。
大学を卒業後、7年間総合商社にて、海外の発電所投資事業に従事。
うち3年はUAEのアブダビの事業会社に出向。
総合商社を退職後、日本企業が出資するルワンダのスタートアップにCFOとして出向。
2019年より現職につきながらエイズ孤児支援NGO PLASの副代表理事も務める。
*本インタビューは2020年6月時点での取材内容となります
現在の活動
現在の活動を教えてください。
AAIC Holdings の投資ファンド事業に従事しており、その中でアフリカのヘルスケア分野を担当しています。
特にナイジェリアを中心としたヘルスケアのスタートアップを中心に投資しています。
間違われることが多いのですが、ソーシャルインパクトへのファンドではなく、単純にファイナンシャルリターンを追求していく投資ファンドです。
投資後も場合によっては、取締役などになり経営を一部担っています。
また、AAICは戦略コンサルの機能もある会社なので、アフリカに進出したいと考えている日系企業の市場調査などを一部お手伝いしています。
もう一つは、14年前の団体の立ち上げから今まで関わっている、エイズ孤児支援NGO PLASの副代表理事としての活動です。
PLASは、アフリカのエイズ孤児、エイズで親を亡くした子供たちを支援をするNGOで年4回の理事会への参加や、運営チームと連絡を取り合いながら団体の方針を一緒に考えています。
民間とNGOの活動
NGOの立ち上げに関わるきっかけを教えてください。
PLAS設立当初に参加した2006年のケニアでのワークキャンプがきっかけです。
当時は、国際協力がというよりも、バックパッカーのようなことをしていて純粋にアフリカを見たいと思いキャンプに参加しました。
そのキャンプでは、HIV感染者のシングルマザーから差別や死への恐怖などの話を聞きました。
また、「自分がこの世からいなくなっても、子どもへの教育だけは与え続けたい」という強い言葉ももらいました。
当時19歳だった私には人の生死に一番近づいた瞬間でかなり衝撃的でしたね。
一緒にキャンプに参加していたメンバーと「話を聞けてよかった」では終わらせてはいけないと話していました。
しかし、私はもともと国際協力には興味はなかったので、この体験を自分のアクションに変えられる場所がありませんでした。
そこで、PLASで活動を始めることになったのです。
なぜNGOに残らず新卒で民間の商社に就職を決めたのか教えてください。
NGOではできない、もっと大きな規模の国全体、世界全体を支えられるようなプロジェクトに携わりたかったからです。
就職活動を始めたときに、世の中のお金や人の流れについて考えました。自分の当時の資産を考えたときに100%寄付や開発のために使うことはない。
ほとんどは銀行預金して民間企業や銀行、または投資に使われ、寄付に回せるお金は限られているという現実を再認識しました。
そのため、民間でインフラの開発に携われる仕事、特にアフリカと関われる環境で働くことを考えていました。
現在の活動で実現したいこと
現在の活動で実現したいことはなんですか?
自分が問題を解決するよりも、アフリカに良い変化をもたらしたいと行動しているローカルのリーダーと協力して一緒により大きな変化を起こしていきたいです。
今は民間の仕事ではアフリカのスタートアップに投資などしていますが、根本的な考え方はPLASでの原体験とつながっています。
PLASはウガンダの小さなコミュニティの中でのエイズ孤児の問題を解決したいという現地のローカルリーダーがいて、「彼らと一緒に日本にいる私たちができることはなにか?」というのを出発点に始まったNGOです。
アフリカに変化を起こす主体となるのは、やはり現地に近いリーダーで、それはスタートアップでもNGOでも同じだと思っています。
活動で大切なこと
二足の草鞋の活動の中で、意識していることはありますか?
信じてもらえる人間になること、多くの強い味方を作ることを大切にしています。
PLASでも商社でも現在のファンドでもそうですが、専門性を持っての活動よりは、オーガナイザーとして多くの人と連携しながらプロジェクトを動かしてきました。
そのプロジェクトを成功させるために、人との関わりを大切にしています。
また、自分が持っていて相手が必要としているものは何かを考えながらやり取りをする、”ギブアンドテイク”も常に意識しています。
次回予告
第二章では一宮さんの二度の転職の経緯と目標の軸の見つけ方についてお伝えします!