「その環境で生まれたから」をなくしたい #3 ~JICA 原祥子さん ~
今回インタビューしたのは、JICAでアフリカの中小企業支援をしている原祥子さんです。
第3弾では『「その環境で生まれたから」をなくしたい』をテーマに、原さんの理想とする社会や、原さんの考える今後の社会課題解決の潮流に迫ります。
原 祥子
大学でBOPビジネス&ICT4Dについて勉強。米国Bellevue大学1年留学。
新卒でICT企業で法人営業。
その後、アフリカの現場をみたいと、海外協力隊としてマラウイでコミュニティ開発として活動。
現地の方60人と炭ビジネスを構築。
その後は経験をアカデミックから見直すため、英国サセックス大学IDS Globalisation, Business and Developmentにて修士取得。ICT4D×アフリカ×農業について研究。
2ヶ月WASSHA株式会社にてインターン。
現在は国際協力機構(JICA)に所属。
*本インタビューは2020年5月時点での取材内容となります
理想とする社会
理想とする社会を教えてください。
格差が小さくなり誰もが幸せに暮らせる社会が理想です。
大学時代にバックパッカーとしてベトナムやインドなど、色々な国に行きました。
その際に印象的だった出来事があります。
ベトナムでは、ある人が私の持っているiPhoneにとても興味を持ちました。
2011年当時スマートフォンはめずらしく、彼は私のiPhoneをとても羨ましがっていました。
その時感じたのは、「なぜ私がiPhoneを持てて、彼は持てないのか?」
私がiPhoneを持てるのは日本で生まれたからであって、ベトナムの彼がそれを持てないのは、「彼がその環境で生まれたから」です。
同じような理不尽が私たちが住む日本にも、世界規模でも存在します。
生まれた環境で大きな差がつくのはとても理不尽なものです。
その差がより小さくなるように活動をしていきたいと思います。
今後の社会課題の潮流
今後の社会課題の潮流がどのようになっていくと思いますか。
コロナウイルスの流行により、様々な分野で人々の考え方が大きく変化すると思います。
流行が拡大したため、多くの先進国の意識は自国の問題に向いていく可能性があります。
世界には医療機器が不十分な国が多くあり、満足な治療が受けられない人が出てくるかもしれません。
どの国も、国内で必要なワクチンの確保や、コロナウイルスが収束した後の問題への対処が国民から求められています。
これまでは日本は国際協調をしていく位置に立つと考えられていましたが、日本も含めて各国の外交は自国主義的になるのではないでしょうか。
今後の国際情勢とグローバリゼーションの行方を、しっかり勉強することが大事だと思います。
社会課題解決を志す人へ
社会課題解決を志す人にお勧めしたい本を教えてください。
安宅和人さんが著者の「シン・二ホン」です。
これから日本がどういう風になっていくのか、グラフやデータを用いて分かりやすく説明されています。
日本の将来を考える上で大きな軸になると思うので、日本の社会問題に関心がある方にぜひ読んでいただきたいです。
最後に社会課題解決の道を志す人たちにメッセージをお願いします。
社会課題解決の道を目指して、自分のキャリアを構築していると、一般的に悩まないような日常的な問題に悩んだり、友人の多くとは違う道で寂しい思いをしたりするかもしれません。
それでも「自分が実現したい世界を創るために、自分の人生を賭けている」という楽しさややりがいは、中々味わえるものではないと思います。
また大きな歴史の中、あなたしかできないことがあるかもしれません。
あなたの行動一つで、どこかのだれかが幸せになるかもしれません。
大変なことは多いですが、一歩一歩進んでいく、その過程を楽しんでいきましょう。