【無関心を関心へ】元協力隊が語る「居酒屋」で国際協力とは!?~協力隊 SAKE BAR Tommy’s 鴇田知弘~
『現地ではない国際協力への関わり方!』
本日は、元青年海外協力隊で、「協力隊 SAKE BAR Tommy’S 」という海外や協力隊に興味のある人が集まるバーを経営している鴇田知弘さん!
システムエンジニアの経験もある社会貢献を仕事にする彼の国際協力観とは⁈
鴇田知弘
2008-2013
IT企業にシステムエンジニアとして従事
2013-2014
ワーキングホリデーでオーストラリアへ渡航
日本食レストラン(焼鳥屋)でアルバイト
2014-2015
帰国後、六本木の焼鳥店、YAKITORI燃WESTで、 オープニングスタッフとして活躍
2016-2018
青年海外協力隊としてアフリカ・ザンビアで2年間のボランティア
2018.05.05
協力隊 SAKE BAR Tommy’Sをオープン
*本インタビューは2019年8月時点での取材内容となります
目次
日本人に伝えたい~間接的な国際協力~
協力隊 SAKE BAR Tommy’S誕生のきっかけ
国際協力の分野においてどのような活動をされていますか。
現在は、会社に勤めながら、浅草で協力隊 SAKE BAR Tommy’sという居酒屋を経営しています。
なので、国際協力の枠の中では、何か大きな活動を直接的ではなく、間接的にやっている形になります。
僕は、JICA(青年海外協力隊)としてアフリカに派遣され、帰国後、すぐに現場に行って何かをしたいわけではなかったんですよ。
それよりも、向こうで色々経験したことを日本にいる皆さんに伝えていきたいという思いの方が強かったです。
思った以上に行く前に考えていた途上国やアフリカのイメージと、実際の現状がとても違いました。
なので、そのイメージを変えていくためには、直接人に伝えることで情報を拡散していく活動もきっかけを与えるものになると思っています。
実家がもともとスナックやっていて、国際協力に関係性のあるような人たちが集まる場にし、いろんなコミュニケーションが生まれたら、面白いと思って始めました。
当初思っていたイメージとどう違っていましたか?
結論として、一番の違いは幸せに対する価値観です。
アフリカの現地に行ってみて、
「なんだこのやかましい人たちは」
と最初に思いました。
彼らはアジア人に対してすごく絡んでくるんです。
この人間味というか、もう日本人には無い感覚に圧倒されました。
それまでは、アフリカに対してネガティブなイメージが多く、不幸な生活を送っているという 漠然としたイメージしかなかったです。
生活に関わる全ての水準は日本よりも低いですが、それでも彼らは彼らなりに生活し、幸せそうにしているんです。
食べるものがそんなに無くて、辛さもあるかもしれないけど、負のオーラを感じませんでした。
毎日を楽しく幸せに生きている印象でした。
なぜこれほど貧しくて辛い環境なのに、そんなに幸せに生きてられるのかなと不思議に思いました。
そこに僕たちが見つけなければならない本質があるのではないかと考えます。
生まれ育った環境から全てが違うので、彼らの幸せの価値観は僕らのものさしだけでは計れない。
だから、単純にその僕らが彼らのように幸せになれるかっていったら難しいんです。
青年海外協力隊へ
協力隊の活動に至る経緯を教えてください。
6年くらいシステムエンジニアの仕事をしていました。
なので、まさか自分がこのような活動をするとは思ってなかったです。
プログラミングを教える鴇田さん
でも、24歳の時に結婚するかどうかという人生の瀬戸際がありました。
結局、その女性とは一緒になることが出来なく、一人になった時にすごい開放感があり、自分のやりたいことや可能性を試したくなりました。
そこで、もともとアフリカに興味があり、世界を見るために行くことになり、決断してからは早かったです。
まず、どうやってアフリカに行けるか考えた時に、手段として色々ありました。
その当時、僕にとって可能性として残っていたのが青年海外協力隊。
国の事業なので、サポートも手厚いということで、JICAを受けようという決意をしました。
その後は、英語をまず一から学び直したいと思い、一旦会社を辞めて、ワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。
そこから、計画通りにJICAの試験を受けて合格して、アフリカのザンビアに行き、現在に至ります。
無関心を関心へ
青年海外協力隊のメリット・デメリット
青年海外協力隊で活動されるメリットとデメリットを教えていただきたいです。
メリットは2つあります。
1つ目のメリットは、派遣される前にある派遣前訓練です。
同じタイミングで派遣される協力隊候補生約80名が同時に皆1カ所に集まるもので、訓練を共にします。
訓練の内容はもちろん良いのですが、なにより出会いがたくさんあって毎日異業種交流会しているような感覚がとても良かったです。
70日間毎日いろんな人と意見交換したり、ご飯を食べたり、週末は一緒にお酒飲んだりしました。
アフリカに行ってた2年間くらい充実してました。それだけでも僕は協力隊に行くメリットを感じましたね。
また2つ目のメリットは、外務省による事業なのでかなり手厚い待遇を受けられることです。
給料ではないが現地での最低限の生活費が保障されています。活動に関して上手くいかないと色々相談に乗ってもらえます。
NGOなどで行くとその団体の意向に従って活動が制限されることが多いですが、JICAだと個人の自由がききます。
自分次第で活動の範囲を拡大できるっていうのも良かったです。
デメリットに関しては、その人次第だと思います。
例えば、隊員さんの中には自分だけで活動に集中してやりたいのにわざわざ集まることに違和感を感じていた人もいました。
基本的に僕としてはデメリットは無かったです。国際協力の入り口としてはすごく良いものだと思います。
顔にペインティングをして楽しむ鴇田さん
国際協力における失敗
国際協力において、失敗だと思った体験や経験はありますか。
向こうで僕が活動していた時にストリートチルドレンがたくさんいました。
どうしても寄ってくる子に対して、なにかしてあげたい思いがあって、食べ物をあげてしまいました。
そうするとどんどん広まり、彼らは僕に言えばなにかもらえると思うようになってしまい、、、
そのとき、ただ与えるというのはある意味悲劇しか生まず、根本的な解決をしないといけないと思いました。
アフリカに行って、そういう子供たちに何もしてあげられない、自分の無力さを痛感しまし た。
そのような子達を本当に救うにはどうしたらいいかってなると国際的な規模で変えていくしかないと思います。
だから、国連とかの活動をするのが一番なのかもしれないですけど、目の前の子供を助けないんですかっていう話にもなります。
その矛盾の、間で板挟み状態になり辛かったです。
現在活動する上で大切にしている考え
tommy’s barで活動をする上で大切にしている考えを教えていただきたいです。
このバーに国際協力に関わりがない人が来た時に、まず僕自身に興味を持ってもらうよう心がけています。
その後で、僕に興味を持ってくれた人にだけ初めて、自分がザンビアというアフリカの国に行っていたことなど国際協力の話題を出します。
興味無い人に、国際協力に少しでも興味を持ってもらうよう促していくのが僕の使命です。
現地に行くことだけが国際協力ではない
これからのキャリアと理想の社会
国際協力におけるキャリア、理想とする社会を教えてください。
僕のスタンスは基本的に変わらなくて、細く長くやるつもりです。
僕がやっていることが間接的に国際協力の一環になればいいですね。
縁の下でこれから国際協力をやろうと思っている人たちに対して情報を与えたり、コ ミュニティに繋げるようなことをしていきたいです。
tommy’sバーでの様々なテーマでイベント開催なども行う
今後は、国際協力ゲストハウスをやってみたいと思っています。
協力隊の人たちが気軽に泊まれるような場所であったりとか、海外のインターン生達が泊まれるインターナショナルなゲストハウスが理想的です。
理想とする社会は、先進国が発展途上国を先導しつつ、発展途上国の人々も自分たちのできることをやり、お互いが協力する社会です。
読者へメッセージ
最後に国際協力の道を志す人たちに応援メッセージの方をお願いします。
国際協力って日本にいるとハードルが高かったり、ネガティブなイメージがあったりする人が多くいると思います。
でも、思った以上に国際協力って簡単なことから始められます。
情報を自分から集める、それも一つの国際協力なんですよね。
今日は アフリカのこの国についてちょっと勉強しようとか、それだけで良いんです。
現地に行かなくても今は本だけでなく色々インターネットで情報が手に入ります。
特に最近はSNSなど、自分の探している情報にリーチするのが早いです。
実際に現地に行って活動したければしたいで良いんですけど、国際協力はそれだけではないです。
だから、考えて自分の身にあった活動をしてほしいです。
Tommy’Sバーの詳細はこちら!