発信だけで社会構造は変わらない#1~Tomoshi Bito株式会社 廣瀬智之さん~
カンボジアでの染め物事業やジャーナリストとしての活動、ニュースアプリ「どっち」の立ち上げなど様々な方面から社会貢献を行ってきた廣瀬さん。
現在は、ボーダレスグループ Tomoshi Bito株式会社(ともしびと)で、子どもが「社会を変えられる」という意識を持てる学校教育プログラムを手掛ける。
様々なファクターから社会を見つめ、行動し続けてきた彼は何を感じ、何を想ったのだろうか。
廣瀬智之
滋賀県出身。
立命館大学卒。
高校生の時、学校の授業で国際協力を学び、途上国の力になりたいとカンボジアに渡航。
その後、報道写真家を志し、東南アジアやアフリカ、大洋州の国々を取材。
発信に取り組む中で、日本の社会・政治への参加意識が低いことを知り、「情報を受け取り、行動をする人」を増やす必要があると気付く。
ボーダレス・ジャパンの起業家採用を受け、新卒入社1年目でTomoshi Bitoを起業。
ニュースアプリ「どっち?」「Social Post」の運営を経て、現教育事業を立ち上げる。
*本インタビューは2020年5月時点での取材内容となります
社会を動かす成功体験を日本の子ども達に届けるため、2020年新たに教育事業CHANGE SCHOOL JAPANを立ち上げた。
そんな彼が教育事業に行きつくまでには長い道のりがあった。
元々、途上国支援に興味があった廣瀬さん。
途上国支援のためカンボジアでの染め物事業など様々な活動をした。
すると、その中であることに気がついた。
それは、世の中には、埋もれている多くの課題があることだ。
「様々な活動をするうちに世の中に埋もれている問題の多さに気がつき、いろいろなことに対応したいと思ったんです。一つ一つの課題、目の前にいる救いたい人のために頑張るやり方もありです。でも、自分は自分らしいやり方で関わっていこうと思いました。」
多くの問題に気がついた廣瀬さんは「みんなに知られていない問題を知ってもらえばいい」と思い立ち、ジャーナリストを志す。
途上国や国際協力をテーマとするNPOメディアganasで、東南アジアやアフリカの国々への取材を続けた。
しかし、彼は活動の中であることに大きな違和感を抱える。
それは、「伝えたいことが人々に届かない」ことだ。
「事実を知ったみんなは、かわいそうと共感してくれます。でも、どこか遠くの人の現状を知ったところで、すぐに生活を変えないし裕福な暮らしをやめるわけでもないです。」
伝えたいことがうまく届かない。この現状にあたった廣瀬さんはそもそもの構造を変えるために、社会起業家としての道を志す。
そして、廣瀬さんは「社会問題解決を目指す人を増やす」という想いを胸にニュースアプリ「どっち?」を立ち上げ、「Social Post」というメディアアプリにまで育てあげる。
アプリの利用者数は1万人を超え、多くの目に止まり、順調かのように思えた。
しかし実情、アプリの利用者はもともと社会問題に関心が高い人たちだった。
「一番伝えたい無関心層には届かない。」
そう気づいた廣瀬さんが、社会構造を変えるために目を付けたのは教育だった。
「僕は、この人を助けたいっていう想いで活動するのもいいと思うんですが、その活動には対症療法的な側面があるように思います。問題の根源に対処しない限り、同じ問題は起こり続けます。自浄作用の様な自分たちの問題を自分たちで解決していく力が必要です。そのためにボトムアップ型の改革が重要です。政治を作っているのは市民なので、市民を変えていく必要があると思います。」
解決するのは、日本の社会・政治参加意識が低いという問題だ。
この問題の解決には、子どもに成功体験を与えることが必要だと言う。
「子ども達は自分が動いても社会は変わらないと思っています。しかし、自分の行動で社会が動いたことを経験すれば、意見も形成されるし自分の価値も感じられます。だから、成功体験は重要です。ただ、そのためにはやっぱりアクションを起こさないといけません。行動しないと成功体験はつくれないからです。教育から変えることで、自らが社会を変えられると実感できる成功体験を与えられます。」
社会をよくするために必要なことを、常に考え実行してきた廣瀬さんだからこそ、強い意思を持って課題に取り組む今の姿があるのだろう。
次回予告
次回は、廣瀬さんのカンボジアでの体験に迫ります。廣瀬さんの信念をつくった出来事とは。お楽しみに。
廣瀬さんのYouTubeはこちら
https://www.youtube.com/channel/UCAp1AgWB06nseBhr6PttaDA