困ったら現場に行け!現地にいるから分かること#2~アフリカクエスト横山裕司さん~
ケニアで事業開発支援を行いながら、アフリカに挑戦する日本人の為のメディア「Africa Quest.com」を運営している横山裕司さんにお話を伺いました。
第2弾では、横山さんの起業にまつわるお話や大切にしている価値観についてお伝えします!
横山裕司
一般社団法人アフリカクエスト 代表理事
(Africa Quest.com編集長、アフリカオンラインコミュニティ AI-HUB 主宰)
アイ・シー・ネット株式会社 アフリカ事業開発コンサルタント
ICNET TRADING AFRICA CEO
エイズ孤児支援NGO・PLAS理事などを兼任。
大手証券会社退社後、青年海外協力隊としてケニアへ渡航。
貧困地域に暮らす女性たちへの収入向上支援を行う。
ケニアに雇用を生むことをビジョンにソーシャルベンチャーを共同設立し、2015年9月まで約2年にわたり運営を行う。
現在は、アフリカでの事業開発支援やメディア運営、国際支援活動などをマルチに活動を行う。
*本インタビューは2020年3月時点での取材内容となります
青年海外協力隊のメリット・デメリット
青年海外協力隊で活動するメリット・デメリットを教えてください。
手当の他にも現地の治安情報、保険など身の安全を外務省・JICAがきちんと管理してくれています。
この辺りは非常に大きなメリットだと感じています。
また、僕は現場を知らないと本当の課題って見えてこない気がしていて、協力隊は起業の「タネ」を見つけに行くことを目的としていました。
色々な活動が現場でできるので、目的意識のある人には協力隊はオススメです。
デメリットとしては基本的に活動を管理されないので、本当にやりたいことがある人や協力隊を活用して何かをしようと考えている人じゃないと、どうしても気が抜けてしまう人もいることです。
特段サポートがあるわけでもないし、自分でゼロからプロジェクトを作らないといけないケースも多いので、協力隊で何かやりたいことがある人にとってはとても便利な制度ですが、協力隊に行くことがゴールになっていると、現地でつまづく人もいるかも知れません。。
事業立ち上げの話
アフリカでの事業を社内起業として立ち上げて感じたことを教えて下さい。
社内起業のメリットは、体力のある日本企業と一緒に現地開発を進められることですね。
アフリカで勝負するには時間もお金もかかるので、現地に飛び込んで起業するよりも
日本で堅いビジネスで売上を確保しつつ、アフリカではじっくり時間をかけて事業を育てる、というような2人3脚でやっていく仕組みが重要だと思います。
起業とかビジネス進出とかの形態に関わらず、アフリカでの事業はすごく大変です。
昔は毎日ケニアのローカルバスで100キロ以上移動したり、一件一件農家さんに訪問したりしてました(笑)
日々失敗も課題も山積するので、常にチャレンジしていかないといけないという大変さもありますね。
でも、そういうことをいかに楽しく、泥臭くできるかは大事だと思います。
困難だった体験
活動する中で困難だと思う体験や経験はありましたか?
困難だったことは、現地の人を傷つけることなく、こちらの価値観をうまく伝えて昇華してもらうことです。
現地では固定観念が強い人も多くて、なかなか外からの情報を受け入れてもらうこと、日本人の価値観を理解してもらうことって難しいんですよね。
昔、僕がやってた会社ではサイザル麻を使ったバッグを作っていて、現地の女性たちにバッグの作成をお願いしたことがありました。
バッグを作る一番最初の工程で、糸を撚る(よる)作業があるんですが、それを通常より細く撚ってもらいたかったんです。
でも、彼女たちには普段より糸を細く撚った経験がなかったので、彼女たちに頼んでも作れないと断られました。
何度お願いしても試作品も作ってもらえない状況が続いて困った私は、練習して自分で作れるようになりました。
彼女たちができないと思っていたことを、外国人でかつ男性が目の前で作りあげたことにプライドがくすぐられたのか、最終的に彼女たちにも、ものすごく綺麗に作ってもらえることができました。
今までのキャリアを選択する中で、悩んだ経験はありますか?
私は基本的にその時々に面白いと思った活動や会社を選んできましたね。
新卒で証券会社に入りましたが、当時協力隊という選択肢はなかったです。
今の仕事も海外進出進出のコンサルタントの経験を積みたいと思って探していたら、
アイ・シー・ネットがたまたま募集していたという感じでした(笑)
今は働き方が多様になっているので、一番大事なビジョンはぶらさず、その時に一番最適だと思うところに行けばいいのかなと思います。
大切にしている考え
現在の活動をする上で、大切にしている考えは何ですか?
現場主義を大切にしています。
現場で起きていることや、現場にいる人の考えを吸い上げて、ビジネスや国際協力に落とし込むことを大切にしたいと思っています。
例えば、踊る大捜査線でも「事件は会議室で起こってなんかいない。現場で起きてるんだ!」って言うじゃないですか(笑)
本当に現場ってたくさんの情報が落ちているんですよね。
アフリカビジネスの文脈でも、「現地の課題は何か」とか、「どういうビジネスモデルがいいか」とかを日本の会議室で話し合うケースがあります。
本当にアフリカでビジネスをするのでれば、やはりその現場で考える方がよいですよね。
とにかく現場の声を聞いて、市場・顧客にニーズに応えるようにビジネスアイデアを練っていかないと、それこそ”机上の空論”になってしまいますよね。
ただ、なかなか現場に行けない人もいると思うので、その分僕はしっかり現場の情報を届けていきたいなと思っています。
必要だと感じるスキルや知識
今の活動をしていて必要だと感じたスキルや知識はありますか。
現場で国際協力をやりたいのであれば、ゼロから何かを成し遂げた経験は持っておいたほうが良いと思います。
それはイベントでも何でもよいのですが、ゼロから人を巻き込んで何かを成し遂げた経験は、現場の活動にもすごく活きてくると思います。
僕が学生の時は国際協力団体を設立しましたが、その時の経験は今も活きていますね。
あとは、何事にも好奇心を持って楽しむことです。
例えば、普通の人は気持ち悪いと思う得体の知れないことがあったとして、それに対して「なにこれ」と好奇心を持って楽しめることですね。
アフリカでは「なにこれ」というものがたくさんあるので、それに対して興味を持ったり、
その状況を楽しめることは必要だと思います。
他には、国際協力業界で働くにしてもビジネススキルは必須だと思います。
例えば、仕事の進め方などといったマインドセット、ビジネスマナー、論理的思考力や営業力あたりですかね。
これらを学んでいれば実際の活動にすごく活きてくると思います。
次回の第3弾では、キャリアに対する考え方や今後の国際協力の流れについてお伝えします!